身近な草花から、
大きく広がる植物の世界を案内します。
植物の魅力を伝える
牧野植物園に長く勤め、県内の植物に関する調査や研究に携わるなどしている鴻上泰さん。
さまざまな場所で多くの人々に植物の魅力を伝える植物の案内人として活動しています。
小さな草花から大きな樹木まで、多種多様な植物の名前や特徴などを、鴻上さんは静かな口調で説明していきます。色や形、大きさ、手触り、匂い、背丈や葉の付き方など様々な違いを観察。すぐには区別がつかないほど似ている植物もあれば、同じ植物でも環境により姿が大きく違ってしまうというお話には驚くばかりです。自然の中を歩きながら、少しずつ植物の世界が広がっていくのが感じられます。
鴻上さんは子どもたちの自然学習の講師としてもいろいろな場所に出かけていきます。植物採集や、標本の作り方など、見本を見せながら一つ一つ丁寧に説明します。
「植物をとるときは、このあたりから切ってください。葉っぱ1枚だけだと後で調べても分からないことがあります。」
子どもたちも思い思いに草花や枝を切り取り、ビニール袋にそっと詰めていきます。しばらく外を歩くと、子供たちの袋の中にはいろいろな植物が見られるようになりました。
早速植物の名前を知ろうと、鴻上さんの前には列ができあがります。一人ひとりの持ってきた草花の名前が次々と書き出されていきました。
子供たちが植物採集に出掛けていたのは1時間足らずとわずかですが、集めた植物の種類は30種近くにもなりました。集めた植物をそれぞれ標本作りのために押し花にしていきます。大きく新聞紙を広げ、子供たちは丁寧に草花をはさみこんでいきました。
急峻な地形で、亜熱帯から冷温帯までの気候帯のある高知県内で見られる植物の種類は、約3,170種だそうです。身近な場所でも多くの植物との出会いがあります。植物やその名前にまつわる様々な話を聞き、四季の変化に触れながら、ゆっくりと歩いてみませんか。